IT業界の働き方は10年でどう変わった?JISA統計を比較

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IT企業を比べていると、「業界全体は伸びているのか」「働き方は本当に良くなっているのか」が気になります。僕も新卒就活で会社ごとの成長率や休日を調べる前に、情報サービス産業の大きな変化を知りたいと思いました。

そこで、情報サービス産業協会(JISA)の2014年版と2024年版の基本統計調査を比較します。数字には変化が見られますが、この調査だけで「IT業界の全企業が同じように変わった」とは言えません。まず調査の範囲を確認してから、就活での使い方まで整理します。

最初に確認:これはIT業界全体の統計ではない

JISAの調査対象は、JISAの正会員企業です。2014年版は516社中365社、2024年版は471社中300社が回答しています。国がIT企業をすべて調べた政府統計ではありません。

この記事の読み方:2013年度と2023年度に回答したJISA会員企業の傾向を比べます。会員の入退会や合併、有効回答数、未回答項目は毎年変わるため、厳密に同じ企業を追った比較ではありません。

JISA自身も、過年度と数値が大きく異なる場合があり、経年変化として使う際は注意が必要だと説明しています。この前提を外さないことが、統計を就活へ安全に使うポイントです。

2013年度と2023年度の主な比較

項目2013年度2023年度
売上高営業利益率5.47%10.65%
売上高経常利益率5.95%11.91%
ITエンジニアの年間所定外労働時間298時間221時間
年次有給休暇取得率54.2%73.6%
従業員1人あたり売上高2,966万円3,775万円
大卒初任給205,052円233,799円
全従業員の平均年齢39.1歳41.3歳
出典:JISA「2014年版・2024年版 情報サービス産業基本統計調査」。利益率は加重平均、労働時間・有給・初任給などは調査内の平均値です。

表だけを見ると、回答企業では利益率と1人あたり売上高が高くなり、所定外労働時間が短く、有給取得率と大卒初任給が高くなっています。ただし、物価変動を調整した実質値ではなく、同一企業だけを比較した結果でもありません。

利益率は上がったが、理由までは断定できない

売上高営業利益率は5.47%から10.65%、経常利益率は5.95%から11.91%へ変化しています。回答企業の平均値としては大きな差です。

一方、この2冊の調査だけでは、クラウド、DX、価格転嫁、業務効率化などのうち、どの要因がどれだけ影響したかまでは分かりません。「利益率が上がったから社員へ還元された」「すべてのIT企業が高収益になった」とつなげるのも早いです。

就活では業界平均で安心せず、応募先の売上と営業利益を過去5年分並べます。増減があった年は、決算資料や会社説明会で理由を確認すると、数字が志望動機や逆質問につながります。

残業と有給は改善方向。ただし会社差を見る

ITエンジニアの年間所定外労働時間は298時間から221時間へ、有給取得率は54.2%から73.6%へ変化しています。月平均へ単純に直すと、所定外労働時間は約24.8時間から約18.4時間です。

これは回答企業全体の平均なので、応募先の残業時間や休みやすさを保証する数字ではありません。部署、案件、繁忙期でも違います。求人票では平均残業時間、年間休日、固定残業代を見て、説明会や面接では「繁忙期はいつか」「配属先ごとの差はどの程度か」まで聞くほうが具体的です。

大卒初任給は約2.9万円増えている

調査上の大卒初任給は、2014年4月採用の205,052円から、2024年4月採用の233,799円へ変化しています。差は28,747円です。

ただし、ここでも「月給」ではなく内訳を見る必要があります。僕は会社を比較するとき、基本給25万円以上を一つの目安にし、固定残業代や各種手当が含まれていないかを分けて確認しました。初任給が高く見えても、基本給、賞与の算定基礎、昇給、住宅手当で条件は変わります。

僕が企業比較で実際に見た6項目

業界統計は、応募先を見るための背景情報として使いました。最終的には会社ごとに次の項目を一覧表へ入れています。

  1. 基本給:月給の内訳と固定残業代の有無
  2. 年間休日:120日以上か、有給取得の実態はどうか
  3. 過去5年の成長:売上と利益がどう動き、その理由を説明できるか
  4. 市場:顧客の課題や需要が今後も続きそうか
  5. 選考回数:何次まであり、誰と話せるか
  6. 仕事の範囲:将来、要件定義や顧客との会話を経験できるか

僕が使った比較軸と質問例は、新卒IT企業の選び方|大学生が求人票と面接で確認したことにまとめています。受託開発の構造が気になる場合は、一次請け・二次請けの違いも確認してください。

統計を見た後、説明会で聞く質問

  • 直近5年で売上や利益が動いた主な理由は何ですか
  • 平均残業時間は、職種や配属先でどの程度違いますか
  • 有給を取得しやすい時期と、繁忙期を教えてください
  • 新卒は最初にどの工程を担当することが多いですか
  • 入社3〜5年目で、要件定義へ進む例はありますか

質問は会社を試すためではなく、自分の生活と成長のイメージを具体化するために使います。IT業界が人材不足でも選考対策が必要な理由は、IT業界は就職しやすい?で整理しています。

参考資料

まとめ

JISA会員の回答企業を比べると、2013年度から2023年度にかけて、利益率、所定外労働時間、有給取得率、大卒初任給などに変化が見られます。ただし、これはIT業界全体や応募先一社の待遇を保証する数字ではありません。

業界統計で方向をつかみ、求人票と公式資料で会社ごとの数字を確認し、説明会や面接で理由を聞く。この3段階に分けると、雰囲気やランキングだけに流されにくくなります。就活全体の進め方は、大学生のIT就活ロードマップから確認できます。

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